表紙デザインと花言葉

華族社会を舞台に若き子爵と家令の恋を描くクラシカルロマンス『憂鬱な朝』。10年に及ぶ連載で全8巻を通し描かれた本作の表紙は、1巻の黒から8巻の白へとグラデーションになっている。そして表紙に花が描かれているのが印象的だ。日本に花言葉が伝来したのは明治の初期のこと。今回は各巻の表紙に描かれた花の花言葉を紹介する。

憂鬱な朝 1巻 

 

1巻の表紙に描かれているのは赤い牡丹。春と冬の花。
花言葉は「風格」、「冨貴」、「恥じらい」

憂鬱な朝 2巻 

2巻の表紙に描かれているのは白い菊。秋の花。
花言葉は「真実」、「高貴」、「高潔」

憂鬱な朝 3巻

3巻の表紙に描かれているのは花水木。春の花。
花言葉は「永続性」、「私の想いを受けてください」

憂鬱な朝 4巻

 

4巻の表紙に描かれているのは立葵。夏の花。
花言葉は「大望」、「野心」、「豊かな実り」

憂鬱な朝 5巻 

5巻の表紙に描かれているのは赤い薔薇。
花言葉は「あなたを愛しています」、「熱烈な恋」

憂鬱な朝 6巻 

6巻の表紙に描かれているのは山百合。夏の花。
花言葉は「飾らぬ美」、「高貴な品性」、「人生の楽しみ」

憂鬱な朝 7巻 

7巻の表紙に描かれているのは百日紅。夏の花。
花言葉は「雄弁」、「潔白」、「あなたを信じる」

憂鬱な朝 8巻 

8巻の表紙に描かれているのは 山茶花。冬の花。
花言葉は「困難に打ち克つ」、「ひたむき」、「あなたがもっとも美しい」

番外編

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完結記念の原画展で撮影したもの(加工)

表紙以外に扉絵でも花が描かれる事が多い本作だが、中でも印象に残っているのがアイビー(へデラ)だ。scene.4に始まり、scene.10、scene.20、scene.23、ラスト直前のscene.45の扉絵に描かれ、作中でも効果的に使われている。
絡まる蔦は二人を取り巻く環境、家や爵位に縛られる呪縛の象徴のようにも思えるが、アイビーの花言葉は「永遠の愛」、「信頼」、「不滅」。ずっと絡まり続けていた蔦は、scene.45では絡む事なく二人の足元に伸びている。途切れる事なく伸びていく蔦は、繋がりを断ち切るのではなく、新しく繋ぎ直す選択をした二人が並んで歩く未来の象徴のようにも思える。

 

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BOOK MARK浅草橋の壁に描かれた先生のサイン

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完結記念にBOOKMARK浅草橋で行われた原画展では、前半後半で内容が変更され合わせて180点を超える生原画とカラーイラストが展示された。