BLとSF

執筆陣の中に木原さんと一穂さんがいたので気になっていたSFマガジンが2月25日に発売されました。この特集に至った経緯は昨年の春頃Twitterで何やら騒がしくなった一件が関係しているようですが……普段SFマガジンを読んでいる読者層がこの企画を面白いと思うかはわからないけど、私自身は割と面白く読めました。かいつまんで感想を書きたいと思います。

よしながふみインタビュー

SFマガジンの最新号が発売される数日前に第42回日本SF大賞が発表されました。本誌では今回大賞を受賞した「大奥」のSF大賞の最終候補作にノミネートを受けて、著者であるよしながふみ先生のインタビューが掲載されています。

「大奥」のSF大賞受賞について、SFなのかという議論も一部ネット上ではあったようですが、この作品はSFだ、SFじゃないとか特別意識して読んでいない人が大半だと思うので、単純に受賞を受けてそうなの?と思った人がいただけの話だと個人的には思っています。1巻の初版帯からSFと記載されていたこと等々このインタビュー読まれたら腑に落ちるのではないかと。

贈賞式が2022年4月16日(土)に代官山 蔦屋書店にて開催されるイベント「SFカーニバル」内で行われる予定で、日本SF作家クラブ公式YouTubeチャンネルにてオンライン配信されます。

BL / 一穂ミチ

ざっくり言うと好きな子のために世界を変える話。今回も絶妙な”ズラし”でした。枠を超えるから天才なんですよね。あり得ないような壮大な夢物語にもう少し身近な夢物語を足すことでグッと読み手の世界に寄せてくる。これも一穂ミチ作品の解像度高さの要素なのではないかと読みながら思った次第です。

作中にでてくる楽曲はジョン・ケージの「オルガン2/ASLSP」。この曲はドイツのハルバーシュタットにあるブキャルディ廃教会で2001年9月5日(9月5日はケージの誕生日)から演奏を開始し、現在も演奏中です。演奏中とは?と思うかもしれませんが、曲名にあるASLSPは「As slow as possible(できる限りゆっくり)」という意味で、この曲は演奏し終えるのに639年かかります。つまり演奏が終わるのは2640年!!なんとも壮大な演奏プロジェクトです。

断 / 木原音瀬

内容的にはSFホラーと言ったらいいのかな?人間の狂気か宇宙人の侵略か!?短編の中に散りばめられた要素が次々と迫ってくる。気味は悪くても不思議と読後感は悪くない。どこで書いてもブレない木原節とでも言いましょうか、この安定感がすごい。「とにかく凄い小説なので読んでください」と解説を終えたくなる衝撃作と言われるだけのことはある。

木原さんの言うソフト路線ほど信用ならないものはない(笑)それはそれでどんな話が出来上がるか興味があるので読んでみたかったです。

BL×SF作品ガイドの項にて紹介されていたパラスティック・ソウルは、シリーズとしては一旦3巻で完結、新エピソードとして「endless destiny」と「love escape」が発売されている。今月発売の小説ディアプラス ハル号に新作が掲載予定。

こちらも木原さんのSF×BL作品。パラスティック・ソウルはライト層向けにもオススメしやすい作品ですが、このWELLは読む人を選ぶというか読むのに覚悟がいる作品。Kindle Unlimited でも読むことができるので、深淵を触れてみたいという方はどうぞ!

≪JUNE≫元編集長インタビュー

前に鈴木Pのトークイベントについてブログを書いた際に、アニメージュ創刊についても触れましたが自分が知らないジャンルの黎明期といって差し支えない時代の話は興味深かったです。

 

BL×SF 作品ガイド

SFマガジンの読者にオススメの小説&コミックをBLとSFを架橋する作品を中心に選出して解説されていました。「地球へ…」、「間の楔」等往年の名作から比較的最近のBL作品も含まれていて、掲載された作品の幅の広さには少し驚いた。BL作品ではないですが、個人的には「戦闘妖精・雪風」が懐かしかったです。アニメのCVで堺雅人さんがでてたりするので興味がある人は検索してみてください。

BLとSFと聞いて思い浮かぶのが須和雪里先生の「サミア」という作品。JUNE元編集長のインタビューでも話がでていましたが、JUNEで活躍された作家の1人です。まさにBL×SFとしてマストな作品だと思うのですが、残念ながら今新刊では手に入らないですし、電子書籍にもなってないのでオススメしずらいのが現状です。。。

作品ガイドの中に丸木戸マキ先生の「オメガ・メガエラ」がありましたが、最近BLレーベルから発売された「僕らのミクロな週末」もSF作品としてもオススメしたい。

作品紹介にあって気になった本。キャプテンアメリカ愛する人にぜひ読んで欲しいとのことだったのでそのうち読むかもしれない(笑)