漫画と演劇の夜

 

漫画『ダブル』とは現在ふらっとヒーローズにて連載されている野田彩子による演劇漫画だ。 今回は阿佐ヶ谷ロフトで行われた第1巻発売記念トークショーについてレポートする。

無名の天才役者・宝田多家良と、その才能に焦がれ彼を支える役者仲間の鴨島友仁。 ふたりでひとつの俳優が「世界一の役者」を目指す!『潜熱』の野田彩子が描く、異色の演劇漫画、開幕!!(公式サイトより引用)

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阿佐ヶ谷ロフト

開催概要

日程:2019年6月14日(金)
時間:開場18:30/開演19:30
料金:¥2,000
会場:阿佐ヶ谷ロフトA(@asagaya_lofta)
出演:野田彩子先生(@engraulis)       
           801ちゃん(@801_CHAN)    
           ダブル担当編集氏(@chaconcon)
ゲスト:笠原彰人くん(@akito_GrabA) 

801ちゃんがゲストとして呼ばれた経緯

このイベントが野田さんと801ちゃんは初対面。
801ちゃんがダブルについてツイートしたことがきっかけで今回のイベントに呼ばれル事となった。801ちゃん曰く「読んだら面白かったのに検索したら全然Tweetしてる人がいなくて、おかしいだろ!って思ってTweetした」
『#漫画ダブル』ハッシュタグをつけて801ちゃんTweetしたことがきっかけでダブルを読んでくれる人が増えたと感謝を伝えていた。

舞台編

作者の野田彩子さんもゲストの801ちゃんも演劇好きと言うことで、イベントの前半は舞台について語られた。

舞台にハマったきっかけ

■野田さん
演劇にハマったきっかけは友人に連れられて行った『ALTAR BOYZ
「そこに、いたんですね。私の天使(※)が」
アドリブで小物を投げたりアバンギャルドなことをしていて、それを見たときに「すごい好きだ……」と思い舞台に通い始めた。
森新吾さん

テニミュがきっかけ。
会場の客席にも頷く人が多数いてテニミュきっかけで舞台沼にハマった人は多いことがわかる

■ダブルを読んだ役者の反応 

「30才で映像に出るのが初っていうのは怖い。その年齢までに自分は出ているのかとか考える。」
801ちゃんは舞台関係の仕事もしていて現場でもダブルの話をしている。その現場で関わっている役者のダブルを読んだ反応は、設定がリアルで友仁と多家良の年齢が役者からすると絶妙で考えさせられるという意見が多数だという。801ちゃん曰くこの反応には男女差があるようで、男の子の方がビビることが多く、その辺は女の子の方がガッツがある子が多い。

■ダブルのキャラクターをリアルな俳優として推すとしたら?
801ちゃん「友仁推すのはいいけど、多家良は怖い。頑張っている過程が見える方が安心して推せる」
野田さん「わけわからん人のが好きだから多家良推せる」

推しについては各々思うところもあるようで、801ちゃんが携わっている舞台の役者に「役者は仕事なくてもTweetしろ、生きてる存在感を主張しろ」と言っている意味は私の狩友の俳優オタの子も自分の推しがブログとか全然更新しないことに対してまったく同じことを言ってたことを思い出した。
SNSを活用できているかって話で、女の子は上手いけど男は下手な子が多い。例えばタピオカミルクティ飲みましたってツイートで、女の子はドリンクと自分を撮るのに男の子はドリンクだけとか載せちゃったり。

801ちゃんが携わっている舞台「Alice in Deadly School 少年」

「Alice in Deadly School 少年」の氷鏡庵役の笠原彰人くんがゲストとして登場。

■笠原彰人くんのダブルの感想
多家良と友仁は対照的。(笠原くんの)解釈だと多家良は感性、友仁は理論派。自分はどっちかというと友仁に近い。役について考えて解釈する。役者の中には多家良みたいにパッとできちゃう人がいるからそういうところは役者にとってすごくリアルだと思う。

■野田さんの笠原彰人くんの印象
(「Alice in Deadly School 少年」の稽古場を見学)ダンスのレッスンを見て、振りがついてないほうの手の動きが素晴らしかった。ミュージカル系の舞台をよく観るが、ダンスで推しが決まることが多い。振りがないときも意識してピシっと止めることができる人。(笠原くんのダンスを見たときに)指先の演技がきちっとしていた。『いいなあ、いいメガネだなあ』と思った。

■推し活と舞台事情
《全通》

毎日違う。通っているうちに”この日”っていうのがある。最初はヅラ被っているな、だったのが”この日”を境にお前が越前リョーマだ!になる。

《ランブロ》

ガールズ演劇にトレード文化はない。自引きは(推し)が私のところにキタ感がある。担当氏がランダムプロマイドがない世界から来た人だった(コスモが違うby野田)のでランダムプロマイドについて大人のカードダスって説明していた。ランダムってキリがないけどTwitterで交換するのに作品のハッシュタグ使われたりして、作品名を目にする機会が増えて宣伝にもなるみたいです。フラスタや楽屋花を贈ったりしている人もいるけど、最近はケータリングを差し入れたりっていうのもあるらしい。お花って管理に制作の人間が1、2人取られるので。役者で稽古期間ギャラがでる人は一握り。今どんどん稽古期間が短くなってる。マンガ家も連載準備期間は何もない。この辺り食べていけるような何かがあるといいよね。。。

■その他
脚本vs演出だったらより頻繁に現場に来る方が勝つ。まったく同じ演技をする人がいたら人にひっかかる顔はアドバンテージ。
推しには信頼させて欲しい(かっこいい自覚)
顔がいい=イケメンではない。
横顔は中々見れない。
客席から見てる顔の角度(首筋)
手、指先まで意識した演技
意識から外れた場所から撮る。
顔がいいって言うより顔つきがいいって言われる方が嬉しい(by笠原)
■野田さんの好み
つり眉、タレ目が好きな顔
ブタのヒヅメ大作戦のバレルが好き
おデコの表情

漫画編

■ダブルを描くきっかけ
BLを一般レーベルで描いたらどうなるだろう?と思ったのが始まり。企画段階では若い役者の日常的なものを描こうとしていたけど、最終的に本格的なものをやろうってなったのは担当氏が詳しかったから。描くにあたって取材とかにもけっこー行っているらしく、それも担当氏が学生の頃から演劇やっていてそのツテで、津田寛治さんとのインタビューも担当氏きっかけ。

[漫画 ダブル連載記念企画]俳優 津田寛治さんインタビュー
https://www.heros-web.com/flat/tsuda-kanji/

■制作について

ネームの時にコマ割り、台詞、最初に吹き出しの位置が決まってそこから絵が入る。何回も目を通して直すことでよりよくなっていくと思っている。(あとで吹き出しの位置変えることもある)
参考に見せてくれようとしたんですが、当日持ってたものがダブルのものではなく未掲載のBL作品のものだったので残念ながら実物は見れず、けっこー大きい紙使っていて独特だなって思ったので見てみたかったな。
■キャラの名前のつけ方
徳島出身で徳島の地名を名字にして名付けサイトで画数のいい名前を探す。友仁は最初『友人』だったがややこしくなるので仁に。徳島の地名や駅名や名産品から名前取りがちでネーミングで徳島アピールしているのに徳島の書店さんが推してくれないらしい(笑)

徳島が野田彩子に気づいた!
徳島新聞のインタビュー記事▼
https://www.topics.or.jp/articles/-/236854

■多家良と友仁の関係性について
別名義でキャッチコピーに執着の怪物とつけられるくらいには関係性にポイントがあるようで、友仁と多家良についても関係性が先にあったようです。帰りにお話させて頂いた時に卵が先か鶏が先かみたいなとこはあるみたいですが。
”セッしない方が不健全”のパワーワード

■タイトルの由来について
最初は世界のタカラ(字はどの字を当てはめていたかは不明)にしようとしたけど、某手羽先屋ぽくなるので却下。代役をダブルと言うのでダブル◯◯としようとしたけど最終的にシンプルにダブルとなった。ただ同時期にドラマやってたりダブりやすく検索しにくいとも…

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お土産に貰った原画(1巻収録の6話ラストのページ)

最後は野田さん自ら参加者へ手渡しでプレゼントに原画を頂いて解散!

801ちゃんの好きなシーン(笑)